スピノザの診察室

スピノザの診察室

夏川草介

  • 定価: 1,870円(本体1,70010%
  • 発売日: 20231027
  • ジャンル: 小説

作品紹介

現役医師として命と向き合い続けた著者が到達した、「人の幸せ」とは。
累計340万部のベストセラー『神様のカルテ』シリーズを凌駕する、新たな傑作の誕生!

その医師は、最期に希望の明かりをともす。

【あらすじ】雄町哲郎は京都の町中の地域病院で働く内科医である。三十代の後半に差し掛かった時、最愛の妹が若くしてこの世を去り、 一人残された甥の龍之介と暮らすためにその職を得たが、かつては大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望された凄腕医師だった。 哲郎の医師としての力量に惚れ込んでいた大学准教授の花垣は、愛弟子の南茉莉を研修と称して哲郎のもとに送り込むが……。


『スピノザの診察室』2024年本屋大賞にノミネート!

『スピノザの診察室』2024年本屋大賞にノミネート!

著者より 読者の皆さまへメッセージ

医師になって二十年が過ぎました。
その間ずっと見つめてきた人の命の在り方を、私なりに改めて丁寧に描いたのが本作です。
医療が題材ですが「奇跡」は起きません。
腹黒い教授たちの権力闘争もないし、医者が「帰ってこい!」と絶叫しながら心臓マッサージをすることもない。
しかし、奇跡や陰謀や絶叫よりもはるかに大切なことを、書ける限り書き記しました。
今は、先の見えない苦しい時代です。
けれど苦しいからといって、怒声を上げ、拳を振り回せば道が開けるというものでもないでしょう。
少なくとも私の心に残る患者たちは、そして現場を支える心ある医師たちは、困難に対してそういう戦い方を選びませんでした。
彼らの選んだ方法はもっとシンプルなものです。
すなわち、勇気と誇りと優しさを持つこと、そして、どんな時にも希望を忘れないこと。
本書を通じて、そんな人々の姿が少しでも伝われば、これに勝る喜びはありません。
(夏川草介)

担当編集者より 読者の皆さまへメッセージ

夏川さんに初めてお会いしてから14年が経ちました。
その年月は、この作品のためにあったのだと感じています。
深遠で大きなテーマを扱ってはいますが、小難しい話ではありません。
飄々としつつも優れた一人の医師が、患者や仲間と真摯に向き合う姿を描いた、最高に「面白い」物語です。
今、この時代にこの作品を刊行させて頂けることを、誇りに思います。
この物語を多くの方にお届けできたら幸いです。
(篠原一朗 水鈴社代表取締役/担当編集者)

著者紹介

夏川草介なつかわ・そうすけ

1978年大阪府生まれ。信州大学医学部卒業。⻑野県にて地域医療に従事。2009年『神様のカルテ』で第10回小学館文庫小説賞を受賞しデビュー。同書は2010年本屋大賞第2位となり、映画化された。他の著書に、世界数十カ国で翻訳された『本を守ろうとする猫の話』、『始まりの木』、コロナ禍の最前線に立つ現役医師である著者が自らの経験をもとに綴り大きな話題となったドキュメント小説『臨床の砦』など。

商品情報

書名(カナ): スピノザノシンサツシツ
ページ数: 288ページ | 判型: 四六判 上製 カバー装
初版奥付日20231025 | ISBN 978-4-16-401006-8 | Cコード 0093

物語に華を添える京都の銘菓

高僧の笠をかたどった独特の形状の餅は、皮がぽってりと分厚いわりに柔らかく、咀嚼とともにたちまち粒あんの豊かな甘味が広がっていく。
風味も甘味もたっぷりとしていながら、後味はすっきりとして品がよい。
哲郎の好物のひとつだ。(本文より)

物語に登場する、主人公・雄町哲郎の愛する「阿闍梨餅」は、江戸時代より続く京都の老舗和菓子店「阿闍梨餅本舗 満月」の銘菓です。

『スピノザの診察室』2024年本屋大賞にノミネート!